静かな静かな森の奥、川のせせらぎと鳥の鳴く声と木々のざわめきが澄んだ空気を包み込んでいます。
そこは名もなき森、その奥には1軒のさほど大きくない家がりました。
煙突はうっすらと煙を吐き出し、赤い瓦の屋根には鳥や動物が集い、木々の隙間からさす日の光が洗濯物を乾かしています。
天気の良いこの日は窓も開け放たれ、家の中に空気を取り入れながら、大掃除の真っ最中のようです。
「すぴ〜、すぴ〜」
揺り篭にゆられながら眠る赤ん坊。
「ちょっと、ヒノ! 本を読んでいないで手伝ってよ!」
威勢の良い女の子が洗い物カゴを片手に叫ぶ。
「今いいところだから〜」
のんびり声で女の子がにこにこしながらページをめくる。
「こら、ツキコ。大きな声を出さないの」
白い布団を持ち上げて、しっかり声の女の子がしかる。
「そうだよ。ツキコも一応、女の子なんだから」
外から顔を出した男の子が、女の子に声をかける。
「あっはっは、ツキコお姉ちゃん怒られたー」
はたきを片手に女の子がころころと笑っている。
「……」
そして2階からその様子を男の子が見守っている。
赤ん坊、サンタ。
目立ちたがり屋、ツキコ。
本が大好き、ヒノ。
みんなのお姉さん、シズク。
アウトドア派、ヨウスケ。
人懐っこい、カナ。
変わり者、サトル。
7人兄弟姉妹は今日も元気に、過ごしているようです。
天気の良い日はお掃除を、特に今日は特別な日が近いということで、それぞれ気合が入っているようです。
それはなんでもないことだけれど、7人にとってはとても大事な日。
7人がそれぞれ思い、お掃除に励んでいました。
続きます・・・