「はい、じゃあ分担を決めま〜す」
「「「えぇ〜」」」
シズクの一言に、3人ほどから声が上がりました。
「いいんじゃないの? 好きに食べたいものとってきたら」
ツキコが言葉を続けます。
「ボクもそれでいいと思う」
「うんうん」
ヨウスケとサトルもツキコの言葉を聞いてうなずきました。
「じゃあ、もし全員が肉を取ってきたらお肉だけでお祝いをするの? 野菜もお魚もなく、お肉だけで?」
「や〜」
シズクの言葉に、カナがとってもイヤな顔をしていました。
そんな2人の様子に、
「え〜、じゃあ仕方ないか」
「それもそうか〜」
「ん〜」
諦めてシズクの言葉に耳を貸しています。
「じゃあ、きちんと決めておいてもいいわね?」
シズクの確認にそれぞれの子がうなずきました。
「まず私は野菜を取りに庭に行くわね。ちょうど、ナンキンとかニンジンとかができているだろうから。で、カナ?」
「はいはい!」
カナが元気いっぱいに答えます。
「カナはサンタの面倒をみていてもらえるかしら? サンタの面倒を見ながらでいいから、食卓に飾るお花を取ってきてくれるかしら?」
「は〜い」
カナは相変わらず元気な声を出して、ぐっすり眠っているサンタのところに駆け出します。
「で、ツキコはいつものようにお肉の調達。でも、無理はしないでね?」
「熊はダメなの?」
「熊さんは次の機会でね」
「あいよ」
熊さんでも捕れるとでも言うようなツキコの言葉に、シズクは笑顔を崩しません。
「ヒノはお魚。逃がさないように、本を読むだけではダメよ?」
「ん」
本から一瞬だけ目線を放してうなずいて、しかしすぐに視線を本に戻してしまいました。
「ヨウスケは山の果物ね。付け合せの果物にする予定だから、生で食べられるものをお願いね?」
「うん、分かった」
メモ書きしながら、ヨウスケもうなずきました。
「サトルはキノコとか野草なんかをお願いね。発掘のついでで構わないから」
「ん……」
サトルもボソッとうなずいて、道具でいっぱいになったかばんを担いでいます。どうやらもう、準備万端のようです。
全員に説明したシズクは、サンタのいる揺り篭に向かい、眠っているサンタの頭をなでながら、
「今日は特別な日、サンタも他のみんなも、みんなが楽しめるような1日になれば良いわね」
静かな笑顔、少し寂しそうな、しかしその笑顔に翳ったところは見えない、そんな笑顔でシズクはサンタの寝顔を眺めている。
「さあ、みんな。今晩はご馳走よ。そのためにも頑張ってきてね?」
「あいさ〜」
「はいよ」
「うん」
「は〜い!」
「ん……」
ツキコにヒノ、ヨウスケ、カナ、サトルがそれぞれにうなずいて立ち上がりました。
「さて、私も行こうかしらね」
籠を取り上げるシズクに、サトルが1番最初に大きなカバンとスコップ片手に出て行きます。
「あの子は相変わらずね〜」
続いてカナがサンタの揺り篭を押して、扉を開けて出て行きました。
「カナ、よろしくお願いね」
しばらく間をおいて、ヒノが大量の本を片手に出て行きました。
「本しか持ってなかったけど、大丈夫かしら?」
ヒノのあとを追うように、ツキコが鉈を腰に差して、弓と矢を背負って、扉をくぐりました。
「重装備ね、何を捕ってくるのかしら?」
最後にヨウスケが畳んだ風呂敷だけを持って出て行きました。
「あれだけ軽装で山を登れるのかしら……」
シズクも扉をくぐり、それぞれの背中を見送りながら、
「さて、今日は頑張りましょうか」
シズクはその足を裏庭の家庭菜園に向けました。
さてさて、それぞれ各人、どのような食材を手にするのでしょうか。
続きます・・・
あとがき
今回は2ヶ月ぶりのオリジナル作品の掲載ということですが、いかがだったでしょうか?
初めての方もいらっしゃいますでしょうから紹介をば、私はナナイロ図書館館長の竜宮たつきです。
今回は一番上にも書いたとおり、マザーグースの一節を使ってキャラクターを作られた犀蓮様のイラストから、私がイメージを横に広げて作った1本が『何曜日でもない1日』です。
ですので、今回初めて原案、キャラクター原案、文章と言う役割分けを書くことになりました。
まずはキャラクターの使用許可をいただいた犀蓮様に一礼、本当にありがとうございます。
出会いはpixivの新着でたまたま見つけたこと、だったと思います。
バカな私はコメントに使ってもいいですかなんて書いて、許可をいただいたので書きました。
お話を持ちかけて、導入が書きあがるまで3ヶ月ぐらいかかったのは、たんに私の遅筆がなせる業なんでしょうね。
次回から7人がそれぞれの食材をゲットするために、いろいろ頑張るお話になると思います。
よろしければしばらくお付き合いください。
ではでは、今回はこれぐらいにしておきましょう、竜宮たつきでした。 |