何曜日でもない1日 〜3話〜

原案・マザーグース、キャラクター原案・犀蓮、文章・竜宮たつき


 〜裏庭〜

 野菜を見ては戻し、時にはもいでカゴに入れ、また歩いて野菜を手に取るシズク。
 ほおに手を当てて、ため息をついているところを見ると、何か心配事でもあるようです。
「は〜、本当に大丈夫かしら、あの子達……」
 どうやら心配の種は、妹と弟たちのようです。
「カナはともかくとしても、他の子は無茶しなければいいけれど……」
 それぞれに食材を頼みはしたけれど、シズクの心配は、
「とくにツキコ……」
 肉調達担当のツキコは、運動能力も高く、それだけに自分の力を過信する傾向がある、それをシズクは心配しているようです。
「この前は……、このトマトは大丈夫ね」
 真っ赤になったトマトを手にとってカゴに入れ、横に合ったトマトに手を伸ばして、
「これは、もう少し早いかしらね」
 そっと元に戻して、シズクは考え事を再開しました。
「カナに無理はさせられない、サンタはもちろんのこと、ヒノは動物を捌けないし、ヨウスケとサトルはダメ」
 サトルは大好きな化石堀りのついでにキノコや野草の収集、ヨウスケは散歩に行くつでに果物を取って来ることに。
 そうなると肉調達の担当はツキコしか残らないのですが、
「あの子、この間は熊捕ったって傷だらけで帰ってくるし、猪捌いたって傷だらけで帰ってくるし……」
 とにかく生傷の絶えないツキコに、シズクはいつも心配でならないようでした。
「あら、日もてっぺんまで来たわね。そろそろ下準備を始めないと」
 空を見上げてそう言ったシズクは立ち上がって、スカートに付いた土を払うように足を二度ほど叩いて、
「さて、忙しくなるわね〜」
 野菜や庭に植えておいた果物などでいっぱいになった籠を片手に、もう片手で大きなかぼちゃを抱えて家に向かった。

 キッチンでは鼻歌まじりに、大きなナンキンの中身をくりぬいているシズクの後姿、長い亜麻色の髪は邪魔にならないように後ろで縛っています。
「さて、これは扉に飾るとして〜、中身はパンプキンパイね」
 着々と進んでいく準備、しかしメインになる食材は何一つ届いていませんが……

 〜花畑〜

「ふんふんふ〜ん」
 編んでは結んで、摘んではがまた結んで編んで、カナは鼻歌まじりに花を編んでいます。
 どうやら、食卓に飾る花とは別に、花のわっかを作っているようです。
「は〜い、サンた〜ん、花飾りができましたよ〜」
 シロツメクサを結んで作った花冠をサンタの頭にかけながら、カナは嬉しそうにうなずいている。
「お似合いでしゅよ〜、サンたん♪」
「あい!」
 サンタも手を伸ばして、そのわっかに指をかけています、どうやら気に入ったようです。
 サンタのいる籠はすでに花でいっぱいになっており、花輪を置くスペースはほとんどありません。
 このままではサンタが花に埋まってしまうかもしれません。
「いっぱい取れたね〜、帰ってシズク姉ちゃのお手伝いしないとね〜」
「あい♪」
 サンタの揺り篭を背負って、カナは早くも家に向かった。

「シズク姉ちゃ、ただいま〜」
「あら、お帰り、ってたくさん取ってきたわね〜」
 サンタの揺り篭とその中いっぱいになった花を見たシズクの一言に、
「うん! 頑張ったの!」
「あい♪」
 カナとサンタが元気いっぱいに答えました。
「うふふ、ありがとうね。他のみんなが帰ってくるまでにきれいに飾って、他のみんなをおどろかせましょう?」
「うん、がんばる!」
 満面の笑顔で嬉しそうに答えるカナに、シズクはやさしい笑みを浮かべて、
「じゃあ、カナちゃんはお花を飾っていってね。私はキッチンの方にいるから、何かあったらいつでも呼んでちょうだいね?」
「わかった〜」
 サンタの揺り篭に手を伸ばしながら、カナは机の上に花を広げていきます。
 色とりどりの花を机の上に広げながら、カナは花瓶を片手に首を傾げていました。

 続く・・・


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