姉妹物語 17話
〜亜矢ともみじ〜

竜宮たつき


「や〜、良かった良かった。全部売り切れて良かったわ〜」
「風紀議会の静様はかなりぎりぎりでしたけどね」
「あの子のことやから、協力する側が見つけちゃうのは……、とでも思ってたんやろうな」
「真面目な方ですもんね」
「楓に言わせると、そこが可愛らしいんやそうな」
「は〜、なんと言うか……」
「あの妹さんたちも参考書を持っていったってことは、やる気なんやろうね。じきに3年は引退やし」
「そうなると多分、あの子たちが役員になるんでしょうし」
「ま、大丈夫やろ。これまでもずっとそうやって、下に下に引き継がれてたんやし。それに3年が沙羅ちゃんとフェイトちゃんとかおりちゃんやろ? 堅物が2人おったら生徒会は十分動くよ」
「堅物って……」
「かおりちゃんも真面目そうな感じやし。来年はヘタな動きはできひんな?」
「亜矢様も卒業して、学校にはいませんけどね」
「そんなこと分かってるよ。あ〜あ、うちの妹も楓とこの子みたいに可愛げがあったらな〜」
「だったら塔子ちゃんをスカウトしてみては? 生徒会に入ってしまう前に」
「無理無理、そんなことしたら楓に何されるか分からん」
「そこまで言わなくても……」
「あの楓やよ? 塔子ちゃんのことになったら、見境なしに動くからな〜」
「行動力ありますもんね、生徒会の人たちって」
「ま、行動力は新聞部も負けてないけどな」
「自慢になりませんよ、うちの行動力は……」
「そういえば、新聞部の広告掲載は文芸部とミス研やっけ?」
「そうです。お互いの宣伝のために、ミス研の佳代様が文芸部のジュン様にこの話を持ち掛けたそうですよ?」
「ま、そういう使い方も考えて、同じ所にはっといたんやけどね」
「……どうせ面倒だっただけでしょう?」

 宝探しのあと、2人は部室で提供商品の完売記念にのんびりとお茶会をしていた。
 しばらくは書くことに困らない、亜矢にとっても宝探しはうってつけのイベントだった。

「や〜、もみじのおかげでしばらく書くことには困らんわ〜」
「えぇ、思いつきで言ってしまったことを猛烈に後悔しています」
「いいやん、ちょっといろいろ手伝ってもらっただけやんよ?」
「そうですね、一週間で全部の準備をするのは大変でした」
「理事長と生徒会が協力してくれたから、すんなりと動いたんよな〜。コネって大事やね?」
「亜矢様が言うとヤバい雰囲気がしますね?」
「褒め言葉として受け取っとくわ」
「……褒めてはいないですけどね」
「ん? 何か言うた?」
「いいえ、なんでも」

 後日からしばらく、新聞には宝探しの特集が組まれたり、半分フィクションの話が掲載されたり、それでまた一騒動があったりなかったり……

『小さな野望の成就』
 



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